野菜ジュースは健康にいいのか
忙しい現代人は、野菜ジュースを飲んで野菜不足を補っている方が多いです。しかし、「野菜ジュースは健康に良くない」という意見がよく聞かれます。
野菜ジュースにするとほとんどの栄養素が無くなってしまう、糖分を摂りすぎてしまうというイメージがある方も多いと思います。
しかし、野菜ジュースはきちんと選んで飲むことで、健康に良い影響を与えます。なぜ野菜ジュースが健康に良いのか、詳しく解説していきます。
野菜は1日350g取りなさい
野菜ジュースの中では、伊藤園「1日分の野菜」や、カゴメ「野菜一日これ一本」といったジュースが有名です。この1日分の野菜というのは、350g以上の野菜という意味を指します。
厚生労働省は「1日350gの野菜を取りなさい」と推奨していますが、推奨しているのは量だけで栄養素については特に触れていません。全国で食べられている野菜が違うこと、野菜に含まれる栄養素が違うことから、厚生労働省は栄養素ではなく350gという量を基準にしています。
350gの野菜を取ると、だいたい健康に暮らせることが分かっています。「1日分の野菜」「野菜一日これ一本」というのは、350gの野菜が取れるということを指しています。
ビタミンCや食物繊維は含まれていない?
野菜ジュースには、ビタミンCや食物繊維が含まれていないとよく言われます。理由としては、食物繊維は水に溶けず、ビタミンCは熱に弱いためです。
しかし、これにも誤解があります。食物繊維は水溶性と不溶性の食物繊維があり、水に溶ける水溶性の食物繊維は野菜ジュースに残されます。
また、ビタミンCは確かに熱に弱いです。1日の目標値である44.7mgに対して、野菜ジュースにしてしまうと10mgしか残りません。そこで、食品添加物のビタミンCを加えることで、1日に必要なビタミンCを補給できるようになっています。
主要な栄養素を満たすために、ビタミンC・食物繊維・カルシウムを足して、野菜ジュースは作られています。あくまで「1日分の野菜」「野菜一日これ一本」といった主要ブランドの話なので、安い野菜ジュースはここまでされていないことが多いです。
しかし、安い野菜ジュースでも野菜量が350g以上であれば、1日分の野菜が摂れるという文言が使えます。野菜ジュースの選び方には注意が必要です。
野菜の産地と濃縮還元
野菜ジュースは海外産の野菜が使われていることが多いですが、伊藤園やカゴメでは中国産は使わない等の配慮がされています。可能な限り国内産の野菜を利用し、ニンジンやトマトといった野菜は国内では足りないため、海外産を使用します。
全て国内産の野菜にしてほしいと思うかもしれませんが、これはしょうがないでしょう。野菜ジュースを飲む方が増え、伊藤園「1日分の野菜」だけでもニンジン16万トン、トマト14万トンが年間で使用されるそうです。
国内の収穫量はニンジン70万トン・トマト60万トンですので、野菜ジュースを国内でまかなうのは不可能になります。
また、よく聞く言葉が「濃縮還元」です。濃縮還元とは、野菜を加熱して6分の1の体積に濃縮、ケチャップのようなドロドロのペーストを冷凍して、日本に輸入する方法です。体積が6分の1になると送料も6分の1になるため、野菜ジュースの価格を抑えることができます。
この濃縮されたペーストに水を加えた商品を「濃縮還元」と呼びます。国内で水を加えれば「国内製造品」と表示できます。
濃縮還元は良い響きのように聞こえますが、濃縮還元をすることで食物繊維やビタミンCが失われてしまいます。そこで、ビタミンA・カリウム・マグネシウム・ビタミンEなど残る成分はそのままにし、食物繊維やビタミンCは食品添加物を加えるという製法となっています。
野菜ジュースは健康・美容に活用すべき
ここまで野菜ジュースの裏側を紹介してきましたが、結論としては「野菜ジュースは健康・美容に活用すべき」ということです。
安い野菜ジュースはあまり信用できませんが、伊藤園やカゴメといった企業が誠実に野菜ジュースを製造していることがわかります。野菜350gを摂取した場合にどんな栄養素が摂取できるかを研究し、それを満たせるように野菜ジュースが作られています。
様々な栄養成分を手軽に摂ることができる野菜ジュースですが、健康的な食生活の基本は様々な物をバランスよく食べることです。野菜ジュースは野菜摂取の補助となるので、野菜・果物も食べた上で野菜ジュースを飲むようにしましょう。